第57回日本交通科学学会・学術講演会

会長挨拶

開催にあたって

三宅 康史

第57回日本交通科学学会・学術講演会

会長 三宅 康史

(帝京大学医学部救急医学講座教授、帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長)

このたび、令和3(2021)年10月に第57回日本交通科学学会・学術集会を主催させていただくことになりました。私が勤めております救命救急センターには、交通事故で大きなケガを負った患者さんが、昼夜を問わず、次々に搬送されてきます。重症の外傷患者さんの初療にあたっていると、その年齢や事故の大きさだけでなく、シートベルトやヘルメットの有無、座席の位置、アルコールや持病の影響などで、患者さんがケガをする部位や種類、重症度、その後の臨床経過などが、大きく異なることに気がつきます。

それは、“何故?”

交通事故に関するあらゆる“何故?”の答を見つけ出すために、交通機関や交通システムに精通した工学系の研究者、車両やシートベルト、ヘルメットを作るメーカーや企業の技術者、交通事故でケガをした人を救命し復帰に向けてリハビリテーションを施す医療者、そして交通事故予防のための技術開発や制度・法律・保険制度を整備する専門家、加齢変化やヒトの特性、判断・認知能力の研究をしている研究者などなど、ユニークな人達が英智を持ち寄り、その“何故?”に応える学会、それがこの学会です。

第57回の学術集会のテーマは、その特性を一層際立たせて、この学会の面白いところをできる限り多くの皆さんに知ってもらうべく、学会名に正直に、

交通事故を科学でなくす学会 ー躍進の鍵:医工連携ー』

としました。

新型コロナウイルス感染症の流行とその感染拡大防止策によって、これまでの生活様式がどんどん変化しています。それが交通事故にどう影響してくるのかも、今後解明していかねばならない新しい“何故?”になるのでしょう。感染症の拡大防止のため学会プログラムは全てウェブ上での開催とさせていただく予定です。
乞うご期待ください。